輪状甲状筋について
輪状甲状筋(CT)について
〜高音・ミックスボイスに欠かせない声帯調整筋〜
**輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)**は、
喉頭にある非常に重要な筋肉で、
声帯の緊張を調整し、音の高さ(ピッチ)をコントロールする役割を担っています。
英語では
cricothyroid muscle(クリコサイロイド・マッスル)
と呼ばれ、ボイストレーニングの分野では
**CT(シーティー)**と略されることが多い筋肉です。
輪状甲状筋の構造と位置
輪状甲状筋は、次のような構造を持っています。
- 起始:輪状軟骨(りんじょうなんこつ)の前外側面
- 停止:甲状軟骨(こうじょうなんこつ)の下縁および下角
この筋肉は、
輪状軟骨と甲状軟骨を結びつける位置にあり、
喉頭の前面に配置されています。
輪状甲状筋の主な機能
声帯の緊張を調整する
輪状甲状筋が収縮すると、
- 甲状軟骨が前方へ引かれ
- 声帯が前後方向に引き伸ばされます
この動きによって、
- 声帯は細く・長くなり
- 振動が速くなり
- 高い音が出やすくなります
反対に、
輪状甲状筋の働きが弱まると、
- 声帯は厚く・短くなり
- 低音が出やすくなります
つまり輪状甲状筋は、
声帯の長さと張力を調整することで音の高さを決める筋肉です。
輪状甲状筋と発声の関係
輪状甲状筋の働きは、
単に「高い音を出す」ためだけのものではありません。
適切に機能することで、
- 音程の安定
- 声のコントロール性
- 高音域での無理のない発声
に大きく関わってきます。
ボイストレーニングにおける輪状甲状筋の役割
① 音域の拡張
高音を出すためには、
- 輪状甲状筋がしっかり働き
- 声帯を適切に引き伸ばす
ことが不可欠です。
CTがうまく使えない状態では、
喉の力で音程を押し上げようとしてしまい、
高音が苦しくなりやすくなります。
② 声の安定性
輪状甲状筋によって
声帯の張力が適切に保たれると、
- 音程が揺れにくく
- ロングトーンやフレーズ後半でも
音が安定しやすくなります
高音で不安定になる場合、
CTのコントロール不足が関係していることも多くあります。
③ 声の強度・持久力
緊張を「強くする/弱くする」ではなく、
コントロールできる状態になることで、
- 声の強度を保ったまま
- 喉に負担をかけず
- 長く歌い続ける
ことが可能になります。
ミックスボイスと輪状甲状筋
ミックスボイス習得において重要なのは、
👉 地声筋(地声寄りの筋肉)と
👉 輪状甲状筋(CT)を拮抗させること
です。
CTだけが強くなりすぎても、
地声筋だけが強くなりすぎても、
バランスは崩れます。
両者がバランスよく働くことで、
- 高音でも喉に力を入れず
- 地声感と裏声感が混ざった
- ミックスボイスの状態
を作ることができます。
HIC以降の音域改善との関係
いわゆる HIC(ハイインテンシティ・チェスト)以降の音域では、
- 地声だけでは対応が難しくなり
- ヘッドボイス側の響きやCTの関与が必要
になります。
輪状甲状筋が適切に働き、
- 地声にヘッドボイスの響きが混ざる
ことで、
👉 地声高音域(HIC以降)も
👉 無理なく発声しやすくなります。
まとめ
- 輪状甲状筋(CT)は音の高さを調整する重要な筋肉
- 声帯を引き伸ばし、高音を可能にする
- 音域拡張・安定性・持久力に深く関与する
- ミックスボイスでは地声筋とのバランスが鍵
- HIC以降の高音域ではCTの適切な関与が不可欠
輪状甲状筋は、
鍛えるというより「正しく使えるようにする」ことが重要な筋肉です。
ぜひ、
発声バランスという視点から
輪状甲状筋の働きも意識してみてください。



